自然と暮らす まほなび
◇左官歴25年、漆喰のすばらしさを伝えたい
○/酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁さん
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2006 酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁さん
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 城や社寺、古民家など日本古来の建造物で目にする美しい白壁。竹組みの枠に土を塗り重ねた荒壁の上に、防火と美観を兼ねる化粧材として塗られている素材が漆喰だ。その一連の作業をするのが左官業だが、時代と共に職人は激減の一途だという。そんななか、漆喰の魅力と仕事の楽しさにはまっているのが、一級左官技能士で「酉越左官」を屋号とする酉越仁さん(40)だ。

 酉越さんは、大和郡山市に生まれ育ったが、左官業を営む天理市の叔父から「左官になれ、食いはぐれもないぞ」と小学生の頃から言われ続けていたこともあって、中学卒業と同時に叔父の下で修業を始めた。「勉強がそれほど好きじゃなかったし、成績もね」と笑う。

 20歳で大阪に出て建設業のアルバイトなどをしながらボクシングジムに通うが、足のじん帯を傷めてUターン、奈良で左官業に専念する。5年後、実技10年以上が必要な一級左官技能士試験に合格。最初はさほど好きではなかった左官業にその頃から魅力を感じ始めた。

 自然素材を使った人体にも環境にも優しい漆喰、仕上がりを大きく左右する道具の「こて」のこと、個性豊かな仲間たちと仕事を介した交流など、時間がたつにつれ仕事への充実感に満たされていった。石灰と麻すさ(割れ止め)、自ら3〜4時間炊いた布海苔を混ぜて作る漆喰。全て天然素材だ。「自然の素材は、風化しても人体に悪影響を及ぼさない。土壁は建て直し時に再利用もできて自然のサイクルの循環になります」
 化学糊や化学繊維を混ぜたものは、折角の漆喰の性能をストップさせる。天然の漆喰壁は、部屋の調湿性に優れ、漆喰の持つ強アルカリ性によって空気を浄化し、カビや細菌類の発生を抑える効果が知られる。「8年前に建てた我が家も、天井や内外の壁は漆喰で仕上げたのですが、家族が風邪を引きにくくなったし、もらってきても家族に移さなくなった気がしますね。今問題のコロナウイルスにもいいのでは」と。

 左官業は天候に左右されるので、いくつかの現場を天気予報に従って施工、雨で動けないときは、サンプル作りやオリジナル漆喰の研究をする。大淀町に自宅を構えた関係で、2017年、吉野青年会議所に入会。「そこで学んだ”まちおこし“の一つに自分も役に立てたら」と、吉野山の桜の花びらを混ぜ込んだ地域ならではの漆喰にも挑戦中だ。地元の下渕マーケットの一角にアトリエを設け、自然素材アートの発信も企画中。

 一方で左官職人の減少に歯止めをかけたいと、ワークショップなどで、漆喰画体験を試みて関心を持ってもらい、女性の左官育成にも目を向ける。「女性の感性や繊細さも仕上げに大切です。ゆくゆくは女性チームも作れたら」

 取材の日は、国の重要伝統的建造物群保存地区・今井町の古民家再生現場で荒壁塗り。あらかじめ均一に割った竹を棕櫚縄で編んでおいた枠(小舞)に、稲藁を混ぜ込み3〜4か月発酵させておいた寝かし土を3人の同業仲間と一緒に手際よく塗っていく。気心の知れた仲間ならではの息の合った仕事ぶりが伝わってくる。

 案内された同町内の施工例では、施主さんに感謝の念を込めて、熨斗止めに入れたという吉祥文様の「こて絵」が。慈愛と感謝の心を忘れない職人魂を見た。
2006 酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁さん
酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁/TORIKOSHI HITOSHI
1980年、大和郡山市生まれ。中学卒業後に左官業の修業を始める。2005年一級左官技能士試験に合格、一般建築のほか社寺や国の重要伝統的建造物群保存地区の仕事も請け負いながら日本伝統の自然素材「漆喰」や「土壁」の製法・技術・知識の継承を目指している。
酉越左官
TEL:0747-52-8969
住所:吉野郡大淀町304-1
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/酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁さん
/印傳工房 南都 代表 南浦 太市郎さん(現代の名工/H28)
/和紅茶専門店「大仏汽茶」運営 Artsplaza(アーツプラザ株式会社) 古屋 研一郎さん
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/奈良町からくりおもちゃ館 館長 安田 真紀子さん
/奈良交通株式会社 自動車事業本部 乗合自動車部 運行受託グループ 統括指導員上條 正幸さん(ユンケル上條)
/地域おこし協力隊 下西 勇輝さん
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/きりかぶの里 代表 山崎 美重子さん
/散華美術館 館長 原田 千賀子さん
/金井畜産 代表 金井啓作さん
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/大和高原文化の会 会長 浦久保 昌宣さん
/ふくもと畳店 4代目 福本 亮さん
/山野草の里づくりの会 村上 秀夫さん
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/ならまちの引き売り 染井 大さん
/カフェ ねころん 経営 前川郁子さん
/子どもの自然の遊び場 彩雲ひろば 主宰 新井博子さん
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/蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
/農家民宿 ほったらかし家 ボランティア団体「しもまる」会員 西岡千種さん
/自給倶楽部「華坊主の里」 沢井啓祐さん 三家昌興さん 松本陽一さん
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/自然派農場しもかわ 主宰 下川 麻紀さん
/ドールハウス・ミニチュア作家 シック・スカート(植田 定信)さん
/竹アーティスト/「竹の國」代表 三橋 玄さん
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/ふくさきわう代表 的場ふくさん
/奈良民俗文化研究所 代表 鹿谷勲さん
/通訳・翻訳・ライター 川上村地域おこし協力隊員 エリック・マタレーゼさん
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/NPO法人無形文化継承機構 福住S・ジョブズ・スクール理事長 前嶋文典さん
/とようけのもり 女将 野田 知江さん
/歴史研究家 長田光男さん
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/NPO法人 メディアネット宇陀 副理事長 稗田 睦子さん
/高山茶筌 翠竹園 伝統工芸士 稲田 有節 さん
/井上 加代 さん
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合同会社 ほうせき箱 代表/平井 宗助 さん
農業家/松浦 猛さん
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古代日本茜染研究所/宮崎 明子 さん
切り絵作家/石賀 直之 さん
河内・江州音頭倶楽部 奈良躍遊会/高岡 伸和 さん
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奈良・人と自然の会/森 英雄 さん
めだか街道/枡田 秀美 さん
映像作家/保山 耕一 さん
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奈良県立医科大学 名誉教授/大𥔎 茂芳 さん
TANTANAKUY 井上工房/井上 暁 さん
竹細工職人/浦嶋 正幸 さん
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有限会社津田瑞苑/津田 和佳 さん&祥乃 さん
曽爾村役場企画課 曽爾村農林業公社事務局/髙松 和弘 さん
農家のお米屋おおの/大野 收一郎 さん
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人形作家/岡本 道康 さん
相楽木綿(さがなかもめん)伝承館代表/福岡 佐江子 さん
前鬼宿坊 小仲坊 61代目/五鬼助 義之さん 三津子さん
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