自然と暮らす まほなび
◇茶をおいしく煮出す工夫が生んだ伝統工芸“茶袋”
○竹細工職人/浦嶋 正幸 さん
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1702_竹細工職人 浦嶋 正幸 さん
1702_竹細工職人 浦嶋 正幸 さん
1702_竹細工職人 浦嶋 正幸 さん
1702_竹細工職人 浦嶋 正幸 さん
1702_竹細工職人 浦嶋 正幸 さん
1702_竹細工職人 浦嶋 正幸 さん
1702_竹細工職人 浦嶋 正幸 さん
1702_竹細工職人 浦嶋 正幸 さん
1702_竹細工職人 浦嶋 正幸 さん
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標高300メートル以上、昼夜の温度差が大きい大和高原地域にある奈良県山添村。平安時代の頃から茶が栽培されてきたという同地域では、番茶をおいしく煮出すための小さな竹籠”茶袋“が作られてきた。茶袋は布製のものも多いが、籠にすることで空間ができ茶葉がしっかり開くから、おいしい茶を煮出せる。長年の知恵が詰まった小さな伝統工芸品を製作しているのが浦嶋正幸さん(87)だ。現在、その細やかな竹細工を継承する人は少なくなり、浦嶋さん一人となった。
浦嶋さんが竹細工を習い始めたのは、終戦直後の1945年。大阪城内にあった大阪陸軍造兵廠から故郷の山添村に帰った冬のこと。家業の農業は強制出荷で手元にはわずかの作物しか残らず、足りない現金収入を得るために、同村の竹細工職人に弟子入りしたのがきっかけだった。当時も村で3人ほどしか茶袋は作っておらず、浦嶋さんが茶袋作りを学んだのは師事した親方が作っていたためだった。「親方は大変温厚な方で、怒ったりするようなことはなく、私は見て真似をして作ってみて、少しずつ教えてもらって技術を習得し、伊賀上野から来る仲買人に作った竹籠や竹製の農具、茶どおし(荒茶から仕上げ茶を作る際の竹製のふるい)、茶袋を売っていました」
昭和30年代に農機具が入ってからは、同村の坂本鉄工所で農機具の修理工として定年まで勤めた。その後、暇を持て余していた折に、師事した親方の息子さんから「茶袋作りを継いでくれないか」と浦嶋さんに声が掛かった。当時は月に5、6個ほど、同村の花香房(産直センター)に卸していただけ。浦嶋さんは「暇つぶしに」と思い、引き受けたところ、2014年に国土緑化推進機構の「森の名手・名人」に選ばれるほどに。「新聞やテレビの取材などもあり、注文が増えて作るのが大変になってしまいました」
材料の真竹は10月〜11月にまとめて採集。30〜4メートルの竹を細く割り、1本1本を何度も刃に通して薄く均一にし、竹ひごを作る。戦後に扱った竹と比べて、今の竹は質が変わり、加工しづらくなったという。「昔の竹は粘りとしなやかさがあり、筋が通っていて、刃を入れると下まですーっと真っすぐに割けた。最近は竹やぶが手入れされておらず、竹がぎゅうぎゅうに生えている。そんなところで育った竹は途中で割れたり、反れたり、なかなか細く長く割くのが難しい」
竹の繊細な技術が織り込まれた伝統工芸品は、大量生産できない手仕事の日用品だ。後継者はいない。「働き盛りの人にすすめられる仕事ではない。近頃、習いたいという問い合わせもあってうれしいが、編むことができても、材料がないと作れないので、竹の下準備から学んでもらいたい。もし、すでに竹細工をしている人や、退職した人、就職前の手習いなどでやりたい人がいれば」
茶を煮出すごとに黒く味わいのある色合いに変わっていく”茶袋“。大事に使い続け、色の変化を楽しんでいきたい生きたキッチンアイテムだ。
1702_竹細工職人 浦嶋 正幸 さん
竹細工職人/浦嶋 正幸 さん
Masayuki Urashima
1929年6月14日山添村生まれ。終戦後、大阪から帰郷し、竹細工を学ぶ。10年ほど農業をしながら竹製品を製作・販売。1954年、結婚し、坂本鉄工所で農機具修理に従事する。退職後の2005年、茶袋作りを継ぎ、花香房へ納品し始める。2014年、「森の名手・名人」に選定される。
販売場所

花香房
TEL/0743-85-0085
山辺郡山添村大西1115-1
10:00〜17:00(4〜11月)
10:00〜16:00(12〜3月)
休/水曜  P/あり

映山紅
TEL/0743-87-0670
山辺郡山添村伏拝888-1
10:00〜16:00
休/水曜(祝日の場合は翌日) P/あり

ミルツル
TEL/0743-52-4420
大和郡山市北郡山町130-3

カウリ
TEL/0742-93-9208
奈良市鳴川町1

鹿の舟(くるみの木)
TEL/0742-94-3500
奈良市井上町11
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/酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁さん
/印傳工房 南都 代表 南浦 太市郎さん(現代の名工/H28)
/和紅茶専門店「大仏汽茶」運営 Artsplaza(アーツプラザ株式会社) 古屋 研一郎さん
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/奈良町からくりおもちゃ館 館長 安田 真紀子さん
/奈良交通株式会社 自動車事業本部 乗合自動車部 運行受託グループ 統括指導員上條 正幸さん(ユンケル上條)
/地域おこし協力隊 下西 勇輝さん
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/きりかぶの里 代表 山崎 美重子さん
/散華美術館 館長 原田 千賀子さん
/金井畜産 代表 金井啓作さん
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/大和高原文化の会 会長 浦久保 昌宣さん
/ふくもと畳店 4代目 福本 亮さん
/山野草の里づくりの会 村上 秀夫さん
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/ならまちの引き売り 染井 大さん
/カフェ ねころん 経営 前川郁子さん
/子どもの自然の遊び場 彩雲ひろば 主宰 新井博子さん
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/蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
/農家民宿 ほったらかし家 ボランティア団体「しもまる」会員 西岡千種さん
/自給倶楽部「華坊主の里」 沢井啓祐さん 三家昌興さん 松本陽一さん
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/自然派農場しもかわ 主宰 下川 麻紀さん
/ドールハウス・ミニチュア作家 シック・スカート(植田 定信)さん
/竹アーティスト/「竹の國」代表 三橋 玄さん
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/ふくさきわう代表 的場ふくさん
/奈良民俗文化研究所 代表 鹿谷勲さん
/通訳・翻訳・ライター 川上村地域おこし協力隊員 エリック・マタレーゼさん
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/NPO法人無形文化継承機構 福住S・ジョブズ・スクール理事長 前嶋文典さん
/とようけのもり 女将 野田 知江さん
/歴史研究家 長田光男さん
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/NPO法人 メディアネット宇陀 副理事長 稗田 睦子さん
/高山茶筌 翠竹園 伝統工芸士 稲田 有節 さん
/井上 加代 さん
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合同会社 ほうせき箱 代表/平井 宗助 さん
農業家/松浦 猛さん
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古代日本茜染研究所/宮崎 明子 さん
切り絵作家/石賀 直之 さん
河内・江州音頭倶楽部 奈良躍遊会/高岡 伸和 さん
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奈良・人と自然の会/森 英雄 さん
めだか街道/枡田 秀美 さん
映像作家/保山 耕一 さん
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奈良県立医科大学 名誉教授/大𥔎 茂芳 さん
TANTANAKUY 井上工房/井上 暁 さん
竹細工職人/浦嶋 正幸 さん
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有限会社津田瑞苑/津田 和佳 さん&祥乃 さん
曽爾村役場企画課 曽爾村農林業公社事務局/髙松 和弘 さん
農家のお米屋おおの/大野 收一郎 さん
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人形作家/岡本 道康 さん
相楽木綿(さがなかもめん)伝承館代表/福岡 佐江子 さん
前鬼宿坊 小仲坊 61代目/五鬼助 義之さん 三津子さん
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