自然と暮らす まほなび
◇天平の赤に魅せられて 古代茜染を探り続ける
○古代日本茜染研究所/宮崎 明子 さん
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1710_古代日本茜染研究所 宮崎 明子 さん
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植物の花、幹や根から色素を取り出し、糸や布を染める日本の伝統色。400以上もの色があるが、その手法の多くは失われている。中でも、再現が難しいとされてきたのが茜染。この茜染を平安時代に記された古代史料『延喜式』をひも解き、探求し続ける主婦がいる。染色研究家の宮崎明子さんだ。
兵庫県明石市に生まれ育ち、学生時代は国文学科で島崎藤村について研究。染めの世界とは無縁だった。きっかけは甲冑研究家の夫の調査について回ったことから始まる。東京・武蔵御嶽神社所蔵、平安時代に作られた国宝赤糸威鎧。明治時代に修復された部分の赤糸は退色しているのにも関わらず、当時のまま残る茜染糸の鮮やかな赤色に宮崎さんは衝撃を受けた。しかし、染色の専門家によると現在でも茜染はできるものの、古代の赤色を再現することは困難とされていた。
子どもが生まれ、夫の仕事の関係で奈良県へと移り住むことに。「奈良は茜染の宝庫でした」。春日大社に残る国宝赤糸威大鎧を始め、法隆寺、正倉院と茜染による多くの宝物が存在。「人を魅了する古代茜染の赤は私の人生を変えました」。子どもが小学生になり、自分の時間を持てるようになった頃、どうしても茜染を復活させたくて、日本の伝統色の再現研究を行ってきた吉岡常雄氏、子息の幸雄氏に師事。天然染料による染色のいろはを一から学んだ。
染色を始めて10年、転機は突然に訪れた。夫の代理で出席したある会で、奈良県教育委員会文化財保存課の山田和夫さんと出会ったのだ。山田さんは文化財保存の視点から茜染が途絶えていることを気にかけ、手に入りにくくなっている日本茜の種を山から採ってきて自宅で栽培、興味がある人に分けていた。「本当に驚きました。どこに人生のラッキーがあるかわかりませんね。すぐにダンボール1箱分の日本茜を分けていただき、本格的に茜染の研究に取り組みました」
宮崎さんの研究は、古代史料『延喜式』を読み解くことから始まった。茜染の材料は「茜大卅斤。米五升。灰二石。薪三百六十斤。」と書かれている。これまでにも染色の専門家が『延喜式』を基に茜染の再現研究を行ってきたが、「米」の用途が解明されていなかった。粥にする、腐らせる、酢を加えるなど、様々な研究が行われたが、茶色っぽかったり、濁りが出たりと思うような結果は得られなかった。宮崎さんは先の研究結果や他の様々な記述から、米は色素抽出のために使用し、芳しい香りのする状態で、しかも酸性でかつアルコール分を含むという条件を満たすものと解釈し、『発酵』の仮説を立てた。自宅の台所は実験室となり、料理道具やビーカーを使い、発行の度合いを変えたり、玄米を使用したり、酢を加えてみたりして少量ずつ染めていった。研究を始めてわずか1年、見事にあの濃くも透明感のある鮮明な赤を引き出すことに成功したのだ。「古代の人々は手の込んだことはしていなかった。素材そのものの持っている性質を十分に理解し、自然の道理にかなった、とってもシンプルな答えだった」と宮崎さん。
困難と考えられていた古代の茜染にほぼ近い色を作り出すことに成功した宮崎さんは、より確かな実証を得るためさらに研究を重ねている。多くの茜を使うため20年前から畑を借り、無農薬で日本茜を栽培。正倉院に見る織物に近づけるため、織機は宗像大社様式の天秤腰機、糸は古代製法による繭糸を使用。全て古代の様式を用い、自身で生地を織り、染めて茜染を再現している。「茜の研究を始めて20数年。古代の茜染に行きつくために、次々に課題が見てきます。一歩一歩確実に近づいていく実感が私の原動力。特別な設備も薬品もない、自然を活かした時代の物だから私にもできたのかもしれません」宮崎さんをここまで魅了する茜染。今年、正倉院展でぜひ茜染に会ってみたい。2017年10月
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古代日本茜染研究所/宮崎 明子 さん
AKIKO MIYAZAKI
1947年、兵庫県生まれ。大阪府立大阪女子大学国文学科卒業。1985年頃から染職を始める。1995年頃から古代の日本茜染再現の研究に入る。畑を借り、自ら日本茜を栽培。現在は日本茜染と天平腰機による織りを基軸に、失われた日本古代の染職技法を掘り起こしている。
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/酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁さん
/印傳工房 南都 代表 南浦 太市郎さん(現代の名工/H28)
/和紅茶専門店「大仏汽茶」運営 Artsplaza(アーツプラザ株式会社) 古屋 研一郎さん
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/奈良町からくりおもちゃ館 館長 安田 真紀子さん
/奈良交通株式会社 自動車事業本部 乗合自動車部 運行受託グループ 統括指導員上條 正幸さん(ユンケル上條)
/地域おこし協力隊 下西 勇輝さん
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/きりかぶの里 代表 山崎 美重子さん
/散華美術館 館長 原田 千賀子さん
/金井畜産 代表 金井啓作さん
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/大和高原文化の会 会長 浦久保 昌宣さん
/ふくもと畳店 4代目 福本 亮さん
/山野草の里づくりの会 村上 秀夫さん
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/ならまちの引き売り 染井 大さん
/カフェ ねころん 経営 前川郁子さん
/子どもの自然の遊び場 彩雲ひろば 主宰 新井博子さん
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/蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
/農家民宿 ほったらかし家 ボランティア団体「しもまる」会員 西岡千種さん
/自給倶楽部「華坊主の里」 沢井啓祐さん 三家昌興さん 松本陽一さん
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/自然派農場しもかわ 主宰 下川 麻紀さん
/ドールハウス・ミニチュア作家 シック・スカート(植田 定信)さん
/竹アーティスト/「竹の國」代表 三橋 玄さん
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/ふくさきわう代表 的場ふくさん
/奈良民俗文化研究所 代表 鹿谷勲さん
/通訳・翻訳・ライター 川上村地域おこし協力隊員 エリック・マタレーゼさん
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/NPO法人無形文化継承機構 福住S・ジョブズ・スクール理事長 前嶋文典さん
/とようけのもり 女将 野田 知江さん
/歴史研究家 長田光男さん
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/NPO法人 メディアネット宇陀 副理事長 稗田 睦子さん
/高山茶筌 翠竹園 伝統工芸士 稲田 有節 さん
/井上 加代 さん
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合同会社 ほうせき箱 代表/平井 宗助 さん
農業家/松浦 猛さん
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古代日本茜染研究所/宮崎 明子 さん
切り絵作家/石賀 直之 さん
河内・江州音頭倶楽部 奈良躍遊会/高岡 伸和 さん
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奈良・人と自然の会/森 英雄 さん
めだか街道/枡田 秀美 さん
映像作家/保山 耕一 さん
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奈良県立医科大学 名誉教授/大𥔎 茂芳 さん
TANTANAKUY 井上工房/井上 暁 さん
竹細工職人/浦嶋 正幸 さん
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有限会社津田瑞苑/津田 和佳 さん&祥乃 さん
曽爾村役場企画課 曽爾村農林業公社事務局/髙松 和弘 さん
農家のお米屋おおの/大野 收一郎 さん
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人形作家/岡本 道康 さん
相楽木綿(さがなかもめん)伝承館代表/福岡 佐江子 さん
前鬼宿坊 小仲坊 61代目/五鬼助 義之さん 三津子さん
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