自然と暮らす まほなび
◇究極を求める 茶筌職人の冒険
○/高山茶筌 翠竹園 伝統工芸士 稲田 有節 さん
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1802_高山茶筌 翠竹園 伝統工芸士 稲田 有節 さん
1802_高山茶筌 翠竹園 伝統工芸士 稲田 有節 さん
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 室町時代から茶筌作りの里と名高い生駒市高山町。高山竹林園の近くで一風変わった看板が目に留まる。「究極の耳かき作ります」。茶筌を中心に竹細工を製作販売する『翠竹園』だ。主は一子相伝の茶筌技術を受け継ぐ伝統工芸士・稲田有節氏。茶筌作りの傍ら、使い手の声に耳を傾け『究極の耳かき』を作っている。

 茶筌屋・伝統工芸士の長男として生まれた稲田さん。幼少の頃から父母や家に出入りする職人さんを間近に見て育つ。その頃は花嫁修業の一環として、茶道をたしなむ女性も多く、茶筌の生産は追い付かないほどだった。小学校の頃から家業を手伝い、大学卒業後には父である稲田正實氏に弟子入りし自然に職人の道を志した。

 茶筌の世界は繊細かつ緻密。茶の湯の流派によって定められた形を忠実に再現することで評価が決まる。何千個と製作し続け、竹の特製を体で学び技術を習得。2001年には現在15人しかいない高山茶筌の伝統工芸士に認定された。しかし、外国産の安価な茶筌が出回り、仕事は激減。荒れた竹林が増え、後継者は減り、茶筌を取り巻く環境は変化していった。

 伝統を守り伝えるため、父の代から工房を解放し見学者の受け入れを行ってきた翠竹園。稲田さんはもっと気軽に伝統工芸に触れてほしいと、県道沿いに茶筌の製作工程の一部が見学できる工房を兼ねた竹細工店を始めた。接客も仕入れも初めて。どんなものが売れるのか、ヒントは人との会話から見つけた。

『究極の耳かき』も客の声から生まれた商品の一つだ。耳かきは、もともと高山地区の職人が、仕事の合間に作っていたもので、生駒市の特産品の一つでもある。稲田さんもオーソドックスな耳かきを販売していたが、20年前に出店した百貨店の催事で転機は訪れた。「もう少し硬めだったら…。ヘッドの角度が。大きさが…」と客からの子細な要望を多く受けた。「耳かきには強いこだわりを持った人が多くいる。マニアもいれば、合う耳かきが無い人、耳鼻科でしか耳かきができないと悩んでいる人もいました」。そんな声に応えようと、稲田さんは使う人に合わせたオーダーメイドの究極の耳かきを作り始めた。
 材料にはしなりがあって折れにくい真竹の煤竹を使う。煤竹は竈のある家の天井に張られ、約200年燻された竹のことで、希少傾向にある。しなり・大きさを削り分け大まかに12種類を用意。しなりの硬い”ハード“、軟らかな”ソフト“、高齢者が使いやすい太い持ち手のある”シニア“、親が子どもの耳を掃除しやすいようにと極小でカーブのあるヘッドを持た”母の愛“などがある。用途や好みに合わせて選び、その場で試し耳かきをしてもらう。力の入れ方などの癖、耳の形状をて、さらにその人に合ったものへと調節していく。後日でも不具合を感じれば調整し、折れてしまった場合でも、持ってきてもらって改善点を探す徹底ぶりだ。「何万人もの耳を見て、声を聞いてきた。一人ひとり耳の形が違えば、癖も違う。耳かきで性格もわかるようになってきましたよ」

 好みもそれぞれ、一つとして正解がない耳かき作り。「お客さんと一緒に作っている感覚です」と稲田さん。店には耳かきの他、カプチーノを泡立てる茶筌マドラーや薬味寄せなど、客の声を反映した個性的な商品が並んでいる。「茶筌は守るべき伝統。竹細工は冒険です。茶筌屋らしくないけど、現代人が求めるものも作っていきたい。売れないものもあるけどね」。竹製品の伝統を守り伝えようとする職人の姿があった。
1802_高山茶筌 翠竹園 伝統工芸士 稲田 有節 さん
YUUSETU INADA
1956年生まれ。大学卒業後、高山茶筌の伝統工芸士である父・稲田正實氏に弟子入り。2001年、自身も伝統工芸士に認定される。同年「究極の耳かき」が“なら・グッドデザイン賞”を受賞。
高山茶筌 翠竹園
生駒市高山町5643(高山竹林園前)
☎0743-78-1389(来店時は確認を)
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/酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁さん
/印傳工房 南都 代表 南浦 太市郎さん(現代の名工/H28)
/和紅茶専門店「大仏汽茶」運営 Artsplaza(アーツプラザ株式会社) 古屋 研一郎さん
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/奈良町からくりおもちゃ館 館長 安田 真紀子さん
/奈良交通株式会社 自動車事業本部 乗合自動車部 運行受託グループ 統括指導員上條 正幸さん(ユンケル上條)
/地域おこし協力隊 下西 勇輝さん
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/きりかぶの里 代表 山崎 美重子さん
/散華美術館 館長 原田 千賀子さん
/金井畜産 代表 金井啓作さん
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/大和高原文化の会 会長 浦久保 昌宣さん
/ふくもと畳店 4代目 福本 亮さん
/山野草の里づくりの会 村上 秀夫さん
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/ならまちの引き売り 染井 大さん
/カフェ ねころん 経営 前川郁子さん
/子どもの自然の遊び場 彩雲ひろば 主宰 新井博子さん
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/蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
/農家民宿 ほったらかし家 ボランティア団体「しもまる」会員 西岡千種さん
/自給倶楽部「華坊主の里」 沢井啓祐さん 三家昌興さん 松本陽一さん
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/自然派農場しもかわ 主宰 下川 麻紀さん
/ドールハウス・ミニチュア作家 シック・スカート(植田 定信)さん
/竹アーティスト/「竹の國」代表 三橋 玄さん
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/ふくさきわう代表 的場ふくさん
/奈良民俗文化研究所 代表 鹿谷勲さん
/通訳・翻訳・ライター 川上村地域おこし協力隊員 エリック・マタレーゼさん
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/NPO法人無形文化継承機構 福住S・ジョブズ・スクール理事長 前嶋文典さん
/とようけのもり 女将 野田 知江さん
/歴史研究家 長田光男さん
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/NPO法人 メディアネット宇陀 副理事長 稗田 睦子さん
/高山茶筌 翠竹園 伝統工芸士 稲田 有節 さん
/井上 加代 さん
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合同会社 ほうせき箱 代表/平井 宗助 さん
農業家/松浦 猛さん
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古代日本茜染研究所/宮崎 明子 さん
切り絵作家/石賀 直之 さん
河内・江州音頭倶楽部 奈良躍遊会/高岡 伸和 さん
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奈良・人と自然の会/森 英雄 さん
めだか街道/枡田 秀美 さん
映像作家/保山 耕一 さん
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奈良県立医科大学 名誉教授/大𥔎 茂芳 さん
TANTANAKUY 井上工房/井上 暁 さん
竹細工職人/浦嶋 正幸 さん
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有限会社津田瑞苑/津田 和佳 さん&祥乃 さん
曽爾村役場企画課 曽爾村農林業公社事務局/髙松 和弘 さん
農家のお米屋おおの/大野 收一郎 さん
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人形作家/岡本 道康 さん
相楽木綿(さがなかもめん)伝承館代表/福岡 佐江子 さん
前鬼宿坊 小仲坊 61代目/五鬼助 義之さん 三津子さん
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