自然と暮らす まほなび
◇蔵じまいの危機から再生、“大和の酒”造りに挑む7代目
○/蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
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1903 蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
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1903 蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
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 名阪国道針ICから南へ約10分、都祁の里山地区に、奈良の酒屋や料理屋で近年評判になっている蔵がある。1871年(明治4年)創業の倉本酒造株式会社だ。 1月半ば、早朝から家族総出で仕込み作業に忙しい蔵を訪ねた。立ち上る湯気の中で、親子3人が息を合わせてタンクに蒸し米を送り込んでいた。6代目であり杜氏だった倉本嘉文さん(64歳)・益子さん夫妻と、7代目を継いだ長男の隆司さんだ。

 同蔵は、奈良県に多い手作りで丁寧に醸す小規模蔵の一つだが、3年前に廃業の危機を乗り越えて今に至ったのだ。隆司さんは、蔵を継ごうと東京農大応用生物科学部醸造化学科で酸や菌を学ぶが、嘉文さんは蔵をたたもうと決意。昨今のアルコール離れ・日本酒離れで、蔵の存続に危惧を感じたからだ。「界隈で1人酒飲みが減ったら、年に百本分の減収ですよ。サラリーマンをやれと言いました」。隆司さんは、大手乳業メーカーに就職し、11年間牛乳と乳酸菌と向き合ったが、酒造りへの思いは断ち切れなかった。

 父親を説得して2015年、蔵へ戻り建て直しに邁進する。県のものづくり補助金を得て設備を入れ替え、配管などは自分で溶接し、大手乳業メーカーで身についた厳正な衛生管理の下、目指す酒造りのための環境づくりに注力した。「私らは、長年の経験と勘で造りましたが、息子はデータ管理。指導も口出しも一切しません」と笑う嘉文さんがするのは、酒米栽培と作業の手伝いだけだとか。

「酒造りは米作りから」との信念から、蔵の前の4枚・6反の自家田で酒米を育てる。この地と蔵になじんだ米は、愛知の酒造好適米「夢山水」。標高500?、中山間地に適する米で、山田錦の系統にあり酒質もいいという。仕込み水と同じ山水を使い、純米銘柄はこの田んぼの酒米で醸す。
1年のうち100日は氷点下という大和高原の厳寒を活かした造りの看板酒は、『純米酒 倉本』。ふくよかな旨みでしっかりした味に豊かな香りの酒だ。磨きは50%と純米大吟醸並みだが表記は「純米」。50%、60%に磨こうがすべて純米としか名乗らない。「磨き具合で味は変わる、それがわかってもらえればいい。酒は好み。アル添(醸造アルコール添加の酒)もうまい」と嘉文さん。冷蔵庫がなかったときは火入れ酒だけだったが、今は季節限定で生も出す。

 もう1本は、『菩提酛 つげのひむろ』。清酒発祥の地、奈良の蔵ならではの菩提酛仕込みの酒だ。嘉文さんをはじめとする奈良の蔵の有志と県が、かつて僧坊酒を造っていた正暦寺の境内で採取した乳酸菌・酵母を使って同寺で酒母を仕込み菩提酛を復元してから21年。今は隆司さんたち息子世代が継ぎ、毎年1月の恒例行事となった。「清酒作り発祥の地の伝統と文化を守った酒造りで、奈良の酒を発信していきたい」

 蔵を継ぎ・守る。その重みを全身で受け止めながらも表情は明るい。「今は試行錯誤中、『味よりもあそこの息子ががんばっている』との評に助けられているんです。その温かい声援に恥じない酒を造っていかないと」。この3年間に全国各地の蔵を訪ね、そのこだわりを学び、持ち帰っては酒質を上げてきた。最近は、奈良の秘蔵地酒を置く飲食店などからも引き合いが多くなっているという。

「材料は米だけ。造り方に幅を持たせて、米の味をしっかり出しながら異なるニュアンスを持たせてみたい」と、父から手渡されたバトンを手に、日本酒の未来道を走る。
1903 蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
蔵じまいの危機から再生、“大和の酒”造りに挑む7代目/TAKASHI KURAMOTO
1981年、奈良市都祁生まれ。6代続く倉本酒造の長男として蔵を継ぐべく東京農業大学・応用生物科学部醸造化学科へ。卒業後大手乳業メーカーで11年働き、2015年帰郷し7代目として酒造りに勤しむ。
倉本酒造 株式会社
奈良市都祁吐山町2501
TEL.0743-82-0008
8:00〜18:00(不定休)
https://kuramoto-sake.weebly.com
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/酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁さん
/印傳工房 南都 代表 南浦 太市郎さん(現代の名工/H28)
/和紅茶専門店「大仏汽茶」運営 Artsplaza(アーツプラザ株式会社) 古屋 研一郎さん
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/奈良町からくりおもちゃ館 館長 安田 真紀子さん
/奈良交通株式会社 自動車事業本部 乗合自動車部 運行受託グループ 統括指導員上條 正幸さん(ユンケル上條)
/地域おこし協力隊 下西 勇輝さん
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/きりかぶの里 代表 山崎 美重子さん
/散華美術館 館長 原田 千賀子さん
/金井畜産 代表 金井啓作さん
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/大和高原文化の会 会長 浦久保 昌宣さん
/ふくもと畳店 4代目 福本 亮さん
/山野草の里づくりの会 村上 秀夫さん
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/ならまちの引き売り 染井 大さん
/カフェ ねころん 経営 前川郁子さん
/子どもの自然の遊び場 彩雲ひろば 主宰 新井博子さん
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/蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
/農家民宿 ほったらかし家 ボランティア団体「しもまる」会員 西岡千種さん
/自給倶楽部「華坊主の里」 沢井啓祐さん 三家昌興さん 松本陽一さん
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/自然派農場しもかわ 主宰 下川 麻紀さん
/ドールハウス・ミニチュア作家 シック・スカート(植田 定信)さん
/竹アーティスト/「竹の國」代表 三橋 玄さん
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/ふくさきわう代表 的場ふくさん
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/NPO法人無形文化継承機構 福住S・ジョブズ・スクール理事長 前嶋文典さん
/とようけのもり 女将 野田 知江さん
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合同会社 ほうせき箱 代表/平井 宗助 さん
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古代日本茜染研究所/宮崎 明子 さん
切り絵作家/石賀 直之 さん
河内・江州音頭倶楽部 奈良躍遊会/高岡 伸和 さん
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奈良・人と自然の会/森 英雄 さん
めだか街道/枡田 秀美 さん
映像作家/保山 耕一 さん
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奈良県立医科大学 名誉教授/大𥔎 茂芳 さん
TANTANAKUY 井上工房/井上 暁 さん
竹細工職人/浦嶋 正幸 さん
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有限会社津田瑞苑/津田 和佳 さん&祥乃 さん
曽爾村役場企画課 曽爾村農林業公社事務局/髙松 和弘 さん
農家のお米屋おおの/大野 收一郎 さん
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人形作家/岡本 道康 さん
相楽木綿(さがなかもめん)伝承館代表/福岡 佐江子 さん
前鬼宿坊 小仲坊 61代目/五鬼助 義之さん 三津子さん
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