自然と暮らす まほなび
◇見て、扇いで感じる涼 新たな風呼ぶ奈良団扇
○池田含香堂 6代目 団扇職人/池田 匡志 さん
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1508 奈良市/池田 匡志 さん
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赤、白、黄、茶、水色の五色の和紙に、奈良らしい透かし彫りが施された「奈良団扇」。扇げばしなやかに風を運び、夏の暑さをしばし忘れさせてくれる。
この奈良の伝統工芸品で新たな風を起こしているのが、三条通に店を構えて160年の老舗「池田含香堂」の6代目・池田匡志さん。平成生まれの若き職人だ。
奈良団扇の歴史は古く、奈良時代に遡る。春日大社の神職の手内職として制作されていた団扇が、次第に洗練され、江戸時代中頃には現在の透かし彫りの形に。一時は途絶えかけるも、明治時代に同店2代目が透かし彫り器具一式を発見。製法を研究、復活させた。
時代の変遷に伴い、戦前には10軒ほどあったと伝わる奈良団扇の店も、現在は池田含香堂ただ1軒のみ。匡志さんは唯一の継承者として、母親の俊美さんと2人、伝統を守っている。
奈良団扇の特長は、何より「透かし彫り」の美しさにある。20枚重ねた和紙に手製の小刀を垂直に差し入れて彫る技術「突き彫り」によって、カッターナイフでは表現できない優美な曲線を描き、団扇に命を吹き込む。
透かし彫りのデザインは、奈良の風物や正倉院文様など、奈良にゆかりのある模様。その数、約100種にも上る。型紙に従って彫るも、仕上がりは職人ごとに少しずつ異なるそうで、「僕はシャープな切れ味を感じられる彫り具合にこだわり、そこが手作業の醍醐味だと思います」と匡志さん。例え同じデザインでも、職人一人ひとりが感じる『美しい団扇』がそこに映し出されている。
そして、ただ美しいだけでなく実用性も高いのが奈良団扇の魅力。扇部分の骨数が60〜70本と、一般的な団扇の2倍はあるため竹がよくしなり、広い面積に透かし彫りが施されていてもしっかりと風を起こすことができる。インテリアとしてだけではなく、使うことで奈良団扇の良さが感じられるのだ。
団扇製造は、1年を通じてすべて手作業。冬の寒い時期には「紙染め」、温度や湿度が高い初夏は「貼り」など、自然のサイクルに合わせて行う。元来は家内工業として4〜5人で作っていたが、先代が早くに亡くなったこともあり、匡志さんが継ぐまでは先代の妻である俊美さんが1人で作っていたそうだ。
 匡志さんは大学卒業後、6代目に就任。母親の仕事ぶりを見て育ったが、いざ職人として働き出すと、知識も経験も足りないことばかりだと痛感した。歴史を学び、技術を極めるにつれて奈良団扇の奥深さを感じ、すっかり虜に。「自分にとって最も身近で、素晴らしいと感じる奈良団扇を広めたい。この思いが、僕にとってのモチベーションです」
そこで、従来通りの店舗販売だけでなく、団扇作り体験や展示会への出展など、積極的に外へ発信。その結果、体験教室は歴史や作り手の思いを知れる機会として好評を博し、屋外でのクラフト展は、雨や湿気、日光などリスクにさらされながらも、同世代の職人や作家から多くの刺激を受けることができた。「奈良団扇にはまだまだ伸び代が残っています。他の工芸技術を奈良団扇に取り入れてみるなど、あらゆる可能性に挑み、変えなければいけないところは変えていきたいです」
ボタン一つで簡単にエアコンが効く、手軽な時代。街では広告入りのプラスチック製団扇が無料で配られ、奈良団扇を取り巻く環境は日々変わってきている。「便利で物があふれている時代だからこそ、良いものを良いと感じてほしいですし、その良さをちゃんと伝えていかないとあかんな、と思います。目標は2つ。奈良の伝統工芸品として教科書に載ることと、そのために少しでも多くの人に知ってもらい、より良いものを作れるよう、高みを目指すことですね」
さわやかな笑顔の中に、熱い思いを秘める若き職人。彼が作った奈良団扇は、この夏も新たな風を運んでくれることだろう。
1508 奈良市/池田 匡志 さん
池田含香堂 6代目 団扇職人/池田 匡志 さん
Tadashi Ikeda
1990年、奈良市生まれ。奈良団扇職人。大学卒業後に家業を継ぎ、池田含香堂6代目に就任。奈良団扇、奈良扇子の制作の傍ら、体験学習、工芸展出展、出前授業等を行い、奈良団扇の発信に注力する。
池田含香堂(がんこうどう)
TEL/0742-22-3690
住/奈良市角振町16
営/9:00〜19:00
休/4〜8月は無休、9〜3月は月曜
narauchiwa.com
※奈良団扇作り体験 随時受付
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/酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁さん
/印傳工房 南都 代表 南浦 太市郎さん(現代の名工/H28)
/和紅茶専門店「大仏汽茶」運営 Artsplaza(アーツプラザ株式会社) 古屋 研一郎さん
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/奈良町からくりおもちゃ館 館長 安田 真紀子さん
/奈良交通株式会社 自動車事業本部 乗合自動車部 運行受託グループ 統括指導員上條 正幸さん(ユンケル上條)
/地域おこし協力隊 下西 勇輝さん
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/きりかぶの里 代表 山崎 美重子さん
/散華美術館 館長 原田 千賀子さん
/金井畜産 代表 金井啓作さん
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/大和高原文化の会 会長 浦久保 昌宣さん
/ふくもと畳店 4代目 福本 亮さん
/山野草の里づくりの会 村上 秀夫さん
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/ならまちの引き売り 染井 大さん
/カフェ ねころん 経営 前川郁子さん
/子どもの自然の遊び場 彩雲ひろば 主宰 新井博子さん
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/蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
/農家民宿 ほったらかし家 ボランティア団体「しもまる」会員 西岡千種さん
/自給倶楽部「華坊主の里」 沢井啓祐さん 三家昌興さん 松本陽一さん
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/自然派農場しもかわ 主宰 下川 麻紀さん
/ドールハウス・ミニチュア作家 シック・スカート(植田 定信)さん
/竹アーティスト/「竹の國」代表 三橋 玄さん
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/ふくさきわう代表 的場ふくさん
/奈良民俗文化研究所 代表 鹿谷勲さん
/通訳・翻訳・ライター 川上村地域おこし協力隊員 エリック・マタレーゼさん
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/NPO法人無形文化継承機構 福住S・ジョブズ・スクール理事長 前嶋文典さん
/とようけのもり 女将 野田 知江さん
/歴史研究家 長田光男さん
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/NPO法人 メディアネット宇陀 副理事長 稗田 睦子さん
/高山茶筌 翠竹園 伝統工芸士 稲田 有節 さん
/井上 加代 さん
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合同会社 ほうせき箱 代表/平井 宗助 さん
農業家/松浦 猛さん
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古代日本茜染研究所/宮崎 明子 さん
切り絵作家/石賀 直之 さん
河内・江州音頭倶楽部 奈良躍遊会/高岡 伸和 さん
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奈良・人と自然の会/森 英雄 さん
めだか街道/枡田 秀美 さん
映像作家/保山 耕一 さん
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奈良県立医科大学 名誉教授/大𥔎 茂芳 さん
TANTANAKUY 井上工房/井上 暁 さん
竹細工職人/浦嶋 正幸 さん
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有限会社津田瑞苑/津田 和佳 さん&祥乃 さん
曽爾村役場企画課 曽爾村農林業公社事務局/髙松 和弘 さん
農家のお米屋おおの/大野 收一郎 さん
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人形作家/岡本 道康 さん
相楽木綿(さがなかもめん)伝承館代表/福岡 佐江子 さん
前鬼宿坊 小仲坊 61代目/五鬼助 義之さん 三津子さん
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