自然と暮らす まほなび
◇野鳥の“声”を紡ぐ写真家 高山のタカに教えられる自然の恵み
○野鳥写真家/与名 正三 さん
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1412 生駒市高山町/与名 正三 さん
1412 生駒市高山町/与名 正三 さん
1412 生駒市高山町/与名 正三 さん
1412 生駒市高山町/与名 正三 さん
1412 生駒市高山町/与名 正三 さん
1412 生駒市高山町/与名 正三 さん
1412 生駒市高山町/与名 正三 さん
1412 生駒市高山町/与名 正三 さん
1412 生駒市高山町/与名 正三 さん
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茶筌の里として有名な生駒市高山町。かつて「鷹山」と書いたのは、タカが多く住んでいたからだろうか。開けた地形に棚田が続き、雑木林やため池が点在するこの地は、タカが生活するのに最適の環境だ。
この地で野鳥写真家として活躍するのが、奄美大島出身の与名正三さん。幼児教育雑誌に掲載する小鳥の撮影のため高山を訪れた際、オオタカの羽根を発見し、「ここにはオオタカがいるのか」とこの地に興味を持った。
タカやハヤブサなど、優れた飛翔力や鋭い嘴・爪を持つ鳥は猛禽類と呼ばれ、食物連鎖の頂点に位置。生態系が健全でないと生息できず、開発や環境汚染に敏感で、その多くが絶滅危惧種に指定されている。拾った羽根をきっかけに与名さんが調べたところ、高山一帯には3番(つがい)ものオオタカが生存すると判明。オオタカが教えてくれた自然の恵みに惹かれ、ついに生駒市内に移住した。
だがわずか数年後、一部の高山地域が宅地開発の危機に。このままでは高山の生態系が壊れてしまう―。与名さんはオオタカが住む高山を守ろうと、2006年、高山の鳥や生物、自然に焦点を当てた写真集を出版して訴えた。オオタカだけでなく、高山にはサシバ、ノスリ、ハイタカなど多種多様の猛禽類がいる。四季折々の里山に溶け込んで暮らすそれらの写真一枚一枚は、高山の豊かな自然を物語っている。
写真集の発行後、与名さんの思いが届いた市会議員や市民の自然保護への関心は高まりを見せた。だが、高齢化で失われつつある田畑や荒廃した里山など、まだまだ問題は多い。「エボラ熱やインフルエンザなど、人間の病気の薬となる原料は動植物。生き物の環境を守ることは、すなわち人間を守ることなんです」
高山で撮影して10年余り。「いきなりには撮りません。人と人が話をして打ち解けるように、まずは鳥の“声”を聞きます」と与名さん。撮影期間のうち90%が観察で、そのうち、鳥の次の行動がわかるようになる。徐々に距離を縮め、互いを身近に感じることで、警戒心のない自然な姿も見せてくれる。「頭の中で撮りたい画が浮かべば、あとはその一瞬をひたすら待つのみ」。時にはテントで巣の前に張り込み、狩りや巣立ちの瞬間を、まるで我が子の成長を見守る父親のように写真に収めていく。
高山のほか、現在は生駒郡平群町でハチクマを追跡。ハチクマは蜂を主食としたり、同じ種の中で親子にもかかわらず様々な羽色の個体が存在したりと多くの謎に包まれているタカで、その全貌を明かそうと、今年で4年目を迎えた。「ハチクマは研究者が奈良におらず、存在を知らない人が多い。こんな面白い鳥が身近にいると、皆に知ってほしいですね」
また、小学生や地域住民、留学生を対象にした野鳥観察会も実施。参加者にまず伝えるのは「鳥を観察してみて」の一言だ。犬や猫と違い、鳥は意識しないとなかなか見ないもの。捕食や生活に適した形の嘴、狩りの仕方で異なる爪の形など、双眼鏡で見て初めて広がる鳥の世界に、参加者は感動を覚えるという。さらに、今後の高山を担う子どもらに鳥を知ってもらおうと、毎年春休みに合わせて写真展も開いている。
「鳥は人間と同じ地球の仲間。鳥にもたくさん能力があって、人間だけが偉いんじゃない。だって、人間は空を飛べないからね」。悠々と翼を広げ、大空を旋回する高山のタカが、いつの時代の子どもにも見られる環境であってほしい。そんな願いを込め、与名さんはこれからも鳥の“声”を写真で紡ぐ。
1412 生駒市高山町/与名 正三 さん
野鳥写真家/与名 正三 さん
Shozo Yona
1951年生まれ、鹿児島県奄美大島出身。野鳥写真家。「フォトオフィスYONA」主宰。奈良県北西部周辺をフィールドに、野鳥の観察、撮影を行う。
『奈良高山の自然―茶せんの里のいきものたち―』
 2,000円(本体価格/東方出版)

『森のハヤブサ ナニワの空に舞う』
 1,500円(本体価格/東方出版)
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/酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁さん
/印傳工房 南都 代表 南浦 太市郎さん(現代の名工/H28)
/和紅茶専門店「大仏汽茶」運営 Artsplaza(アーツプラザ株式会社) 古屋 研一郎さん
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/奈良町からくりおもちゃ館 館長 安田 真紀子さん
/奈良交通株式会社 自動車事業本部 乗合自動車部 運行受託グループ 統括指導員上條 正幸さん(ユンケル上條)
/地域おこし協力隊 下西 勇輝さん
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/きりかぶの里 代表 山崎 美重子さん
/散華美術館 館長 原田 千賀子さん
/金井畜産 代表 金井啓作さん
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/大和高原文化の会 会長 浦久保 昌宣さん
/ふくもと畳店 4代目 福本 亮さん
/山野草の里づくりの会 村上 秀夫さん
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/ならまちの引き売り 染井 大さん
/カフェ ねころん 経営 前川郁子さん
/子どもの自然の遊び場 彩雲ひろば 主宰 新井博子さん
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/蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
/農家民宿 ほったらかし家 ボランティア団体「しもまる」会員 西岡千種さん
/自給倶楽部「華坊主の里」 沢井啓祐さん 三家昌興さん 松本陽一さん
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/自然派農場しもかわ 主宰 下川 麻紀さん
/ドールハウス・ミニチュア作家 シック・スカート(植田 定信)さん
/竹アーティスト/「竹の國」代表 三橋 玄さん
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/ふくさきわう代表 的場ふくさん
/奈良民俗文化研究所 代表 鹿谷勲さん
/通訳・翻訳・ライター 川上村地域おこし協力隊員 エリック・マタレーゼさん
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/NPO法人無形文化継承機構 福住S・ジョブズ・スクール理事長 前嶋文典さん
/とようけのもり 女将 野田 知江さん
/歴史研究家 長田光男さん
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/NPO法人 メディアネット宇陀 副理事長 稗田 睦子さん
/高山茶筌 翠竹園 伝統工芸士 稲田 有節 さん
/井上 加代 さん
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合同会社 ほうせき箱 代表/平井 宗助 さん
農業家/松浦 猛さん
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古代日本茜染研究所/宮崎 明子 さん
切り絵作家/石賀 直之 さん
河内・江州音頭倶楽部 奈良躍遊会/高岡 伸和 さん
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奈良・人と自然の会/森 英雄 さん
めだか街道/枡田 秀美 さん
映像作家/保山 耕一 さん
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奈良県立医科大学 名誉教授/大𥔎 茂芳 さん
TANTANAKUY 井上工房/井上 暁 さん
竹細工職人/浦嶋 正幸 さん
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有限会社津田瑞苑/津田 和佳 さん&祥乃 さん
曽爾村役場企画課 曽爾村農林業公社事務局/髙松 和弘 さん
農家のお米屋おおの/大野 收一郎 さん
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人形作家/岡本 道康 さん
相楽木綿(さがなかもめん)伝承館代表/福岡 佐江子 さん
前鬼宿坊 小仲坊 61代目/五鬼助 義之さん 三津子さん
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