自然と暮らす まほなび
◇代々の思いを「烏梅」に託し、美しき伝統の色を支える
○国選定文化財保存技術「烏梅製造」の保持者/中西喜久さん、邦子さん
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1109 月ヶ瀬/中西 喜久 さん 邦子 さん
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1109 月ヶ瀬/中西 喜久 さん 邦子 さん
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 月ヶ瀬の梅の実が完熟し、あたり一面に甘い梅の香りが漂う頃、一軒の庭先で烏梅造りが始まる。梅雨の蒸すような暑さの中、髪を手拭いで覆い、手を真っ黒に染めて作業を進めるのは、月ヶ瀬生まれ月ヶ瀬育ちの中西喜久さん、邦子さん夫妻だ。
 毎年、半夏生の日に氏神天神にお参りし、翌日から烏梅造りが始まる。完熟して木から自然に落ちた梅の実を拾い集め、ススをまぶして窯で一昼夜蒸し焼きにする。それを種までカラカラになるよう、1か月近く天日で乾燥させるのだ。こうして完成させたものを『烏梅』と呼び、古くから薬や伝統的な紅花染めの媒染剤として珍重されてきた。
 喜久さんは小学生の頃から、邦子さんは義父である喜祥さんを嫁として手伝うことから始まった。梅スダレの一方を持って運んだり、雨が降ったらビニールシートをかぶせたり、作業を手伝いながら烏梅の話を何度も聞いた。「南北朝の頃、月ヶ瀬に逃れた園生姫が製法を伝えたと言われていて、米よりも高価なものでした。村のほとんどの家で作られ、梅の木もたくさん植えられました。月ヶ瀬梅渓が名勝とまでなったのも烏梅があったからとも。しかし、明治に入って化学染料が輸入され衰退し、戦後はうちだけとなったのです」
 1995年、国選定文化保存技術『烏梅製造』の唯一の保持者として認定された喜祥氏は今年3月、92歳で永眠。梅の花が春の訪れを告げた頃だった。それに次いで今年7月15日、喜久さんが保持者に認定された。その栄誉を喜びつつ、義父の技を後世につないでいけるのか、邦子さんはプレッシャーでもあるという。
 そんな二人を周囲の人がサポートしてくれた。体力のいる梅拾いも地元の有志の人たちが集めてくれ、製造に欠くことのできないススも伊賀の銭湯や地域の人が協力してくれた。一人では出来ない作業も親戚をはじめ皆が手伝ってくれた。昔ながらの製造法を守ることはたやすいことではない。便利になった今の時代、簡単に作る方法もあるかもしれない。雨が降りやすいこの時期を避けて作ることも出来るかもしれないだが、「昔からのホウゴト(決まり事)にはそうすべき意味があると思う」。伝えられたやり方を頑なに守り、「ただただ私たちに出来ることをやろうと思います」と明快だ。
 奈良時代の頃から大和に春の訪れを告げる行事のお水取り。ここで捧げられる椿の花の紅色にも欠かせず、中西家の人々と周囲の人々の協力で守り継いでいる。「烏梅を必要としている方がいて、応援してくださる方がいるから、頑張れます」
1109 月ヶ瀬/中西 喜久 さん 邦子 さん
国選定文化財保存技術「烏梅製造」の保持者/中西喜久さん、邦子さん
Yoshihisa&Kuniko Nakanishi
烏梅造りを営む最後の1軒。1995年に故中西喜祥氏が国選定文化財保存技術「烏梅製造」の保持者として認定された。今年3月逝去。7月長男喜久氏も同じく保持者に認定される。22歳で中西家に嫁いだ邦子さんは3人の子を育て、喜祥氏の烏梅製造を長年手伝い学び、中西家と烏梅を守っている。
【月ヶ瀬尾山の中西家】
奈良市月ヶ瀬尾山2263
TEL/0743-92-0560
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/酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁さん
/印傳工房 南都 代表 南浦 太市郎さん(現代の名工/H28)
/和紅茶専門店「大仏汽茶」運営 Artsplaza(アーツプラザ株式会社) 古屋 研一郎さん
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/奈良町からくりおもちゃ館 館長 安田 真紀子さん
/奈良交通株式会社 自動車事業本部 乗合自動車部 運行受託グループ 統括指導員上條 正幸さん(ユンケル上條)
/地域おこし協力隊 下西 勇輝さん
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/きりかぶの里 代表 山崎 美重子さん
/散華美術館 館長 原田 千賀子さん
/金井畜産 代表 金井啓作さん
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/大和高原文化の会 会長 浦久保 昌宣さん
/ふくもと畳店 4代目 福本 亮さん
/山野草の里づくりの会 村上 秀夫さん
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/ならまちの引き売り 染井 大さん
/カフェ ねころん 経営 前川郁子さん
/子どもの自然の遊び場 彩雲ひろば 主宰 新井博子さん
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/蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
/農家民宿 ほったらかし家 ボランティア団体「しもまる」会員 西岡千種さん
/自給倶楽部「華坊主の里」 沢井啓祐さん 三家昌興さん 松本陽一さん
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/自然派農場しもかわ 主宰 下川 麻紀さん
/ドールハウス・ミニチュア作家 シック・スカート(植田 定信)さん
/竹アーティスト/「竹の國」代表 三橋 玄さん
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/ふくさきわう代表 的場ふくさん
/奈良民俗文化研究所 代表 鹿谷勲さん
/通訳・翻訳・ライター 川上村地域おこし協力隊員 エリック・マタレーゼさん
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/NPO法人無形文化継承機構 福住S・ジョブズ・スクール理事長 前嶋文典さん
/とようけのもり 女将 野田 知江さん
/歴史研究家 長田光男さん
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/NPO法人 メディアネット宇陀 副理事長 稗田 睦子さん
/高山茶筌 翠竹園 伝統工芸士 稲田 有節 さん
/井上 加代 さん
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合同会社 ほうせき箱 代表/平井 宗助 さん
農業家/松浦 猛さん
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古代日本茜染研究所/宮崎 明子 さん
切り絵作家/石賀 直之 さん
河内・江州音頭倶楽部 奈良躍遊会/高岡 伸和 さん
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奈良・人と自然の会/森 英雄 さん
めだか街道/枡田 秀美 さん
映像作家/保山 耕一 さん
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奈良県立医科大学 名誉教授/大𥔎 茂芳 さん
TANTANAKUY 井上工房/井上 暁 さん
竹細工職人/浦嶋 正幸 さん
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有限会社津田瑞苑/津田 和佳 さん&祥乃 さん
曽爾村役場企画課 曽爾村農林業公社事務局/髙松 和弘 さん
農家のお米屋おおの/大野 收一郎 さん
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人形作家/岡本 道康 さん
相楽木綿(さがなかもめん)伝承館代表/福岡 佐江子 さん
前鬼宿坊 小仲坊 61代目/五鬼助 義之さん 三津子さん
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