自然と暮らす まほなび
◇伝統工芸「大塔坪杓子」を伝える唯一の職人
○杓子職人/新子 光 さん
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1012 大塔町/新子 光 さん
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1012 大塔町/新子 光 さん
1012 大塔町/新子 光 さん
1012 大塔町/新子 光 さん
1012 大塔町/新子 光 さん
1012 大塔町/新子 光 さん
1012 大塔町/新子 光 さん
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天川村よりさらに南、吉野の山中深くに位置する大塔町。その名は南北朝時代、この地の郷土が隠遁中だった大塔宮護良親王を助け、建武の中興を実らせたことに由来する。
新子光さんは、あたりの伝統工芸品である「大塔坪杓子」の職人。金髪で、服はニッカポッカ。ただ目元はやさしく、笑顔に格別の愛嬌がある。戦前までは、地区中の人がしていたという杓子作りだが、今も続けている家は、新子さん一軒だけ。それも数年前、祖父の薫さんが体調を崩し引退してからは、光さんが唯一の職人となった。
素材となるのは、樹齢70年ほどの栗の木。生木の間は加工しやすく、乾燥させると軽くなり、水に強く丈夫なためだ。杓子は使い込むほどに黒く変色し、やがて古い大黒柱のような、味わい深い色味になる。食洗機などで洗うことは出来ないが、大事にすれば、100年ももつ。何より、使うほどに手に馴染む杓子は、「道具を育てる楽しみ」を与えてくれる。
小さな頃は、学校から帰ると自宅近くの作業場で、薫さんと一緒にお菓子を食べるのが日課だった。そうやって杓子作りを、見るともなしに見る。「この仕事は、手取り足取り教わるものではありません。『どんな勉強をしたか』と聞かれれば、『昔から祖父の仕事を間近に見た』というくらいでしょうか」。
やがて車に興味を持つようになり、高校は自動車課に進学、寮で生活した。整備士の資格も取得し就職先も紹介してもらったが、伝統を途絶えさせてはいけないと、卒業後は大塔へもとることにした。その後は80歳近い祖父と二人暮らし。毎日家事全般をこなしながら、時間を見つけては杓子作りに取り組んだ。
光さんが自作の杓子を販売するようになったのは、実はつい最近。以前の作品は出来にばらつきがあり、売るのに抵抗があったためだ。作品が大きく変わったのは、薫さんが杓子作りを引退してから。「自分がやらなければ」という責任感と、何より、使う人の気持ちを考えるようになったのが大きな違いだそうだ。
「昔は使い勝手も何も考えず、ただ杓子の形にしていた」。杓子作りの時間が取れないと嘆いていたはずの家事が、今になって生きている。
日本を見回すと、木杓子を作る地域は多い。ただ型を使わず、大ナタを振るって、生木から一気に仕上げてしまうのは、この地区だけだ。作業は早朝から、日付が変わる頃まで続くことも。それでも、一日に出来るのは5〜10本だという。
今、伝統を守るのも、家の家計を守るのも、光さんただ一人。薫さんはその仕事を見守り、アドバイスをすることなどほとんど無い。「自分なりの方法を身に付けるのが一番ですから」。静かな山里に、光さんの、ナタを打つ音がこだまする。
1012 大塔町/新子 光 さん
杓子職人/新子 光 さん
Atarashi Hikaru
1986年、旧大塔村(現大塔町)に生まれる。奈良大学付属高校自動車工学科を卒業後、祖父の新子薫さんに師事、杓子作りを学ぶ。現在「大塔坪杓子」を伝える唯一の職人として「杓子屋 新子」を営む。
【杓子屋 新子】
所/五條市大塔町惣谷224
TEL・FAX/0747-36-0368
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/酉越左官 一級左官技能士 酉越 仁さん
/印傳工房 南都 代表 南浦 太市郎さん(現代の名工/H28)
/和紅茶専門店「大仏汽茶」運営 Artsplaza(アーツプラザ株式会社) 古屋 研一郎さん
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/奈良町からくりおもちゃ館 館長 安田 真紀子さん
/奈良交通株式会社 自動車事業本部 乗合自動車部 運行受託グループ 統括指導員上條 正幸さん(ユンケル上條)
/地域おこし協力隊 下西 勇輝さん
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/きりかぶの里 代表 山崎 美重子さん
/散華美術館 館長 原田 千賀子さん
/金井畜産 代表 金井啓作さん
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/大和高原文化の会 会長 浦久保 昌宣さん
/ふくもと畳店 4代目 福本 亮さん
/山野草の里づくりの会 村上 秀夫さん
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/ならまちの引き売り 染井 大さん
/カフェ ねころん 経営 前川郁子さん
/子どもの自然の遊び場 彩雲ひろば 主宰 新井博子さん
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/蔵じまいの危機から再生、 “大和の酒”造りに挑む7代目
/農家民宿 ほったらかし家 ボランティア団体「しもまる」会員 西岡千種さん
/自給倶楽部「華坊主の里」 沢井啓祐さん 三家昌興さん 松本陽一さん
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/自然派農場しもかわ 主宰 下川 麻紀さん
/ドールハウス・ミニチュア作家 シック・スカート(植田 定信)さん
/竹アーティスト/「竹の國」代表 三橋 玄さん
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/ふくさきわう代表 的場ふくさん
/奈良民俗文化研究所 代表 鹿谷勲さん
/通訳・翻訳・ライター 川上村地域おこし協力隊員 エリック・マタレーゼさん
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/NPO法人無形文化継承機構 福住S・ジョブズ・スクール理事長 前嶋文典さん
/とようけのもり 女将 野田 知江さん
/歴史研究家 長田光男さん
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/NPO法人 メディアネット宇陀 副理事長 稗田 睦子さん
/高山茶筌 翠竹園 伝統工芸士 稲田 有節 さん
/井上 加代 さん
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合同会社 ほうせき箱 代表/平井 宗助 さん
農業家/松浦 猛さん
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古代日本茜染研究所/宮崎 明子 さん
切り絵作家/石賀 直之 さん
河内・江州音頭倶楽部 奈良躍遊会/高岡 伸和 さん
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奈良・人と自然の会/森 英雄 さん
めだか街道/枡田 秀美 さん
映像作家/保山 耕一 さん
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奈良県立医科大学 名誉教授/大𥔎 茂芳 さん
TANTANAKUY 井上工房/井上 暁 さん
竹細工職人/浦嶋 正幸 さん
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有限会社津田瑞苑/津田 和佳 さん&祥乃 さん
曽爾村役場企画課 曽爾村農林業公社事務局/髙松 和弘 さん
農家のお米屋おおの/大野 收一郎 さん
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人形作家/岡本 道康 さん
相楽木綿(さがなかもめん)伝承館代表/福岡 佐江子 さん
前鬼宿坊 小仲坊 61代目/五鬼助 義之さん 三津子さん
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