古から現代に至るまで数多くの文人墨客に親しまれてきた吉野山。桜の頃は心斎橋筋並みの人出だそうだが、若葉の初夏から紅葉の秋は名所旧跡をゆっくり味わえる。いつもは下から歩くが、今回はロープウェイとケーブルバスで奥千本口まで行き、そこから森林浴をしながら文人ゆかりの地を訪ねつつ下山。
高城山や花矢倉から遠望ビュー後、与謝野晶子の定宿・竹林院を訪ねた。次に谷崎潤一郎が長逗留した櫻花壇へ寄った後、吉水神社下の谷の吉野温泉元湯へ。ここは藤村が教え子との恋の苦悩を癒しに来た宿だ。
メイン通りへ戻り、蔵王堂前のやっこで昼食。葛菓子や吉野手すき和紙の店でみやげ物を物色、銅の鳥居前の老舗旅館「さこや」へ。政財界の大物の宿泊記録が残る同旅館では、頼山陽の直筆を拝見。黒門横の「やまもと」で器と香りの桜三昧を楽しんで帰途に着いた。